活動成果

教材解説

新領域『研究活動の国際化に伴う諸課題』を設定し、拡充中です
    対象教材
     ・研究活動の国際化に伴う諸課題― 研究セキュリティと責務相反 ― (2024/8/8新規)
    関連教材
     ・研究インテグリティとその対応
     ・機微技術の管理
     ・大学等における安全保障貿易管理
     ・利益相反と責務相反(2025/4/1単元名変更、改訂)

 自由でオープンな研究交流は、科学進歩の基盤であり、グローバルな課題の解決に国際的な研究協力は不可欠です。しかし近年、このオープンな研究環境を悪用し、個人的利益の追求、政治目的への利用、新技術の独占をもくろむ、といった外国からの不適切な働きかけが目立ち、深刻さを増しています。そのため、今日では多くの国が、国際的に合意された規範や規制に即しない国際共同研究を国家や経済の安全保障に対する重大なリスクと捉えるようになっています。
 この新たなリスクに対応するため、「研究セキュリティ」という概念が生まれ、各国で学術研究を外国からの不適切な介入から保護するための最善の方法について議論が進められています。研究者には、オープンさを最大限推進しつつ、公正さと健全さを守り、科学の発展とその成果の公平な享受を推進する義務がありますが、研究セキュリティもその一部です。
 この新しい課題は、研究組織内、研究コミュニティ内での「不正行為」を防止する視点と大きく異なる点があります。すなわち、「不正行為」が外部から、しかも個々の研究者、技術者に表立たない方法で行われることが多いという点です。すべての研究者、技術者が「自分事」として認識すべき課題ですので、APRINでは関連する教材を今後とも拡充していく予定です。また、できるだけ早急に研究者、技術者の理解と認識が進むように、APRINでは下図を使って、セキュリティの意味を説明しています。必要な認識を職場等の研修会などで広めていただくことを期待し、公開します。出典を明記の上、教材と共にご活用下さい。

(APRIN客員研究員 片上幸美、 APRIN専務理事 長井寿)

長井寿、片上幸美 、「自由で開かれた研究環境と貴重な技術を自己防衛する「防御壁」」、
一般財団法人公正研究推進協会、2024年
https://www.aprin.or.jp/achievements

研究の記録 -実験ノートの実際- (2024年度全国公正研究推進会議 ポスター発表)

 2025年2月12日、東京大学安田講堂に於いてAPRINが主催した2024年度全国公正研究推進会議において、APRINの片上幸美研究員がポスター発表「研究の記録 -実験ノートの実際-」を行いました。
 発表に使用したノートの見本はAPRIN事務局にて保管しております。閲覧を希望される場合はAPRIN事務局までご連絡ください。

概 要:(プログラムより)
 分野を問わず、公表された研究の内容に対して、裏付けとなる記録が存在しないものに対しては不正行為が疑われ、論文取り下げの大きな要因ともなっている。研究の記録の在り方を見直すことは、公正な研究活動をサポートするために重要である。具体的な記録の方法とともに、研究者の迷いや悩みとなる点について調査を行ったので報告する。

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日本の科学技術・イノベーション戦略と研究公正(APRI2023 TOKYO展示資料)

 2023年3月20日~22日、早稲田大学に於いてAPRINが主催したAPRI2023 TOKYO(第5回アジア太平洋研究公正ネットワークミーティング 2023)において、APRINの樋笠知恵研究員が「日本の科学技術・イノベーション戦略と研究公正」と題した展示を行いました。法律・府省庁・学協会のこれまでの動向と概要が年別にまとめられています。ぜひご覧ください。

(以下の画像をクリックしてPDFをダウンロードできます)

研究不正に関する調査・審査の標準化に向けて

 研究不正の告発を受けると、研究機関ではその内容に応じて研究不正の調査委員会が立ち上げられ、調査が実施されます。その際に問題となるのは、調査を担当する担当者や委員らによって、経験も方針も異なるということです。調査は文部科学省等のガイドラインに基づいて実施するものの、詳細が定められているわけではなく、調査委員会ごとに不正認定の基準に差が生じてしまう可能性は否定できません。

 APRIN医生命科学系分科会では、こうした可能性を防ぎ、各研究機関の担当者及び委員に任命された研究者を支援する目的で、この分野で経験の深い方々22名にお集まりいただき「研究不正調査標準化会議」を開催してきました。15回の会合の中では、欧米紙のエディター、米国の政府機関経験者、日本の政府機関の方々のご意見も参考にさせていただいております。

 そして、研究不正調査を実施する際に考慮すべき内容の考慮事項をまとめ、国際会議等での報告を行ってきました。この度、それらの成果の集大成とも言える内容が、研究公正の領域で国際的にも評価の高い学術誌 Accountability in Research に掲載されました。

 APRINでは日本での研究不正調査の標準化を祈念し、同誌に掲載された論文を邦訳しました。研究機関において不正の疑惑が生じた際に、どのように対応し、どういう手順で、どのような事に配慮しながら、何をもとに判断していくのか、といった点を、分かり易く解説していますので、ぜひ参考になさってください。

研究不正の告発の調査における考慮事項(和訳)(2020年11月26日更新)

 研究不正調査に際しての考慮事項についての英語論文を日本語に翻訳しました。

研究不正の告発の調査における考慮事項(2020年11月26日更新)

研究不正調査に際しての考慮事項について議論を行い、英語論文にまとめ、2020年5月に国際誌に掲載されました。論文はオープンアクセスになっています。

着眼点および自己チェック項目(2019年4月24日掲載)

「研究不正調査に際しての着眼点および自己チェック項目-調査の手続きと報告書の標準化に向けて」が『学術の動向』2018年12月号に掲載されました。

研究機関内における研究不正に関する調査・審査の標準化を目指して、APRIN研究不正調査標準化会議において、国内外の有識者・政府関係者からご意見をいただきながら作成した「研究不正調査に際しての着眼点および自己チェック項目-調査の手続きと報告書の標準化に向けて」の記事が『学術の動向』12月号に掲載されましたので、ご覧いただき、研究機関での研究不正に関する調査にご活用ください。

また、わが国における研究不正対策に向けた活動を海外にも知っていただくとともに、国際的な不正調査における標準化への布石となることを願い、同記事の英文化を図り、英文解説記事が、”How to investigate allegations of research misconduct: A checklist”がRetraction Watch (2019/1/8付)に掲載されました。

新技術振興渡辺記念会 令和4年度科学技術調査研究助成 成果報告

新技術振興渡辺記念会 令和4年度科学技術調査研究助成の成果報告ページはこちら