2021年2月10日付で、APRIN事務局より維持機関会員・賛助会員の窓口担当者の皆様へ
以下のメールをお送りいたしましたのでご確認ください。
一般財団法人公正研究推進協会(APRIN)
維持機関会員・賛助会員 窓口担当者 各位
(※このメールはAPRIN 維持機関会員・賛助会員の窓口担当者の皆様へ
お送りしています。
教員・研究者の先生方よりAPRIN事務局へ、本イベントに関するご案内が
手元に届いていないとのご連絡を頂いております。
大変お手数ではございますが、教員・研究者の先生方をはじめとする
eAPRIN受講者の皆様、研究倫理教育担当の皆様等へ
転送していただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。)
平素より大変お世話になっております。
APRINより会員の皆様へのお知らせをお送りいたします。
APRINが共催をしております「第6回研究倫理を語る会」の開催まで
2週間をきりました。
本メールでは各セッションの内容をご案内いたします。
参加登録は当日も受け付けておりますので、
本メールをご一読の上、是非、参加をご検討くださいませ。
・「第6回研究倫理を語る会」概要
開催方法:オンライン(ライブ配信、一部オンデマンド配信)
日 時:2021年2月20日(土)10:00~16:50
参加費:5,000円(特設ページより事前参加登録をお願いいたします)
・セッション内容のご案内(タイムスケジュール順)
■セッション1-1(10:00~10:40)
「第6回研究倫理を語る会」開会の辞、基調講演
「マイクロアトリビューションによる医療研究の推進:新型コロナを例として」
演者:末松 誠(慶應義塾大学医学部医化学教室 教授)
1つの病院で抽出されるデータを活用するだけでなく、多くの病院や
研究機関が協力し、ブロックチェインやコンソシアム方式でデータを
シェアできれば、新型コロナの変異株情報をナレッジベース上で
ほぼリアルタイムで共有できる。
英国が変異株情報の把握を迅速に行えるのは、新型コロナの前から
国全体が同一のゲノム解析コンソシアムを構築してきたことと、
疾病流行時に患者のデータを国を守るために使えることが法律で
定められていることが大きい。
またICを取る臨床家だけでなく、基礎研究者や、サンプルからRNAを
抽出し、シーケンシングにかけ、施設間でゲノム解析の方法が共有されて
いることも極めて重要である。さらに一連のプロセスには医師だけでなく、
研究支援者の役割がいたるところに発揮されて初めて迅速なデータ解析と
公開、成果の回付が可能となる。そのような考え方は、貢献した個々人の努力を
等しく相互に認め合うマイクロアトリビューションという考え方があって初めて
成立する。日本はどうか?
我々の大学病院では90例の変異株情報を11月に国際データベースに公開し、
昨年11月24日にmedRxivに日本の第2波を構成したと思われる
軽症型変異株のNon-synonymous mutationを同定,公開した。
臨床タグ情報を一括して研究に使うことによって多くの患者の命が救える
可能性を否定することは、生命倫理の第3原則、第4原則に反する
ことではないか?
講演では実体験に基づいてそういった議論ができれば幸甚である。
■セッション1-2(11:00~12:30)
臨床研究法後の臨床研究と課題
いわゆるディオバン事件をきっかけに、わが国の臨床研究の信頼性に対する
危機感が生じて設けられた臨床研究法は、企業資金による研究バイアスの抑制
という目的を達しながらも、他の法の不備、研究資金を含む支援体制の
不備の中で無視できない副作用も生じてきた。
法の施行者と研究者の間での施行規則やQ&Aを巡って生じた当初の混乱は、
「統合Q&A」で縮小したが、小児やがん患者を対象とした不可欠な研究の萎縮は
避けられていない。今後予想される臨床研究法の改定に向けては、法がもたらした
正負の両面をデータを以て分析しておく必要がある。
わが国の法の特徴と、その影響、そして改善に向けた課題を議論する。
※セッション1-2「臨床研究法後の臨床研究と課題」へご登壇予定の
大橋靖雄先生はご都合によりご講演キャンセルとなりました。
■セッション2-1(11:00~12:30)
医療AI研究における倫理的課題と対応
最近は、医療における「AI、IoT、ビッグデータ」を扱う倫理審査申請が
増えてきていると思うが、その扱いに戸惑っている倫理審査委員会も
多いのではないだろうか?
そこで当セッションでは、今、実際にどのようなことが行われようと
していて、どのような課題がありどう対処すべきかを検討する。
内閣府の「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」プログラムは、
「AI、IoT、ビッグデータ」を開発・構築することにより、
高度で先進的な医療サービスの提供と、病院における効率化(医師や看護師の
抜本的負担軽減)を実現し、社会実装することを目的としている。
「AIホスピタル」から思い浮かべる実態が人によって異なることから、
まず、洪が慶應義塾大学病院における実際のAIホスピタルの活動を紹介する。
また、「AI、IoT、ビッグデータ」の開発と活用には、産官学の連携が
不可欠である。
そこで、朱が、企業における経験を踏まえてELSI(倫理的・法的・社会的課題)
およびその対応を説明する。
そして、井上が、医療におけるAIと学習機能が組み込まれた
ヘルスケアシステム(ラーニングヘルスケアシステム)の倫理について
研究班の活動を紹介する。
最後に、いくつかの課題に焦点を当て、倫理委員会での対応を含めて
ディスカッションを行う予定である。
■セッション1-3(13:30~15:00)
治験・臨床研究への患者・市民参画
治験・臨床研究はより良い治療法の開発のためには必要不可欠であり、
患者の協力なくしては成り立たない。
しかし、わが国の治験・臨床研究は、従来から研究者主体で進められており、
研究費の獲得から、計画立案、実施、評価のプロセスの中で、重要な
キーパーソンである患者や市民が参画する機会はほぼなかった
といっても過言ではない。
平成29年に一部変更された「医療分野研究開発推進計画」
(健康・医療戦略推進本部 平成26年7月22日)では、「臨床研究及び
治験の実施に当たっては、その立案段階から被験者や患者の参画を
促進する」と記載されている。
それを受けて日本医療研究開発機構(AMED)では
「患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)ガイドブック」
(平成31年4月)としてまとめた。
PPIの観点は、がん対策推進基本計画(第3期)や免疫アレルギー疾患研究
10 か年戦略でも言及され、現在の「医療分野研究開発推進計画」
(令和3月27日)にも継承されている。
研究者・患者、市民にとってまだ馴染みのないPPIだが、研究者は
患者や市民の意見から新たな知見を得、それを研究計画に活かすことで
より臨床的に意味のある研究が実施できる、患者や市民は治験・臨床研究や
医療への関心を深めると同時に、チームの一員としての遣り甲斐を感じる
ことができる等の効果が期待できる。また、患者会が治験を提案し、
実現に向けて取り組んだ実例も出てきている。
本シンポジウムでは、演者それぞれの立場からPPIについて考えることや
将来の展望等について意見交換を行いたい。
■セッション2-2(13:30~15:00)
わが国の教育と審査の孤立化を避けるために
COVID-19はあらゆる領域で国際交流の機会を奪っている。
それは渡航のみならず、時差ゆえにWeb上でのライブの意見交換をも
許さないからだ。こうした鎖国状態にあって、世界にとって未曽有の
PANDEMICが広がり、その影響は、わが国に於いても研究および企業活動に
大きな変化をもたらしている。そうした活動においても、信頼性の面で
国際的な枠組みの中にとどまるには、海外からの情報収集に努める中で、
わが国の現体制を冷静に見直し、整えていく必要がある。
本セッションでは、そうした点に関する、1)今後多くの研究者が影響を
受ける学会レベルの現在の進行形の活動と、2)研究機関レベルでの公正な
研究の確保に向けたシステム構築を議論する一方、3)このたび、医薬品同様の
研究倫理指針が設けられた食品研究のわが国の実態と課題、そして
倫理審査委員の役割について解説する。
■セッション1-4(15:20~16:50)
緊急事態における研究倫理
COVID-19のパンデミックに対して、世界的に各国が国を挙げて、
治療薬およびワクチンの開発を進めている。我が国でも同様であり、
関係する研究機関は、国の支援を受けて急ピッチで開発を進めている
状況にある。
治療薬やワクチンへの国民の期待は強く、国はそれらの開発に迅速性を
求めざるを得ない状況にある。一方、安全性や有効性が十分に確認されて
いない試験薬やワクチンを使用される研究対象者の安全の確保は不可欠である。
さらに、研究ではなく診療上必要性から有効性・安全性が必ずしも
証明されていないCOVID-19治療薬が使用されている実態がある。
特に、今年春の第一波においては、我が国全体がパニック的な状態に
陥り、COVID-19に係る研究者や医療者もかつて経験したことのない
大変な状況に陥ったのは承知の事実である。
COVID-19治療薬やワクチンを医療で使用するためには、安全性や有効性が
十分に実証されることが必要であり、パンデミックという緊急事態にて
行われる臨床試験は開発の迅速性と研究対象者保護の両立という
研究倫理的に困難な課題をクリアしなければならない。
本シンポジウムでは、COVID-19研究に実際に携わっている研究者、
倫理審査を行ったCRBの委員長、法倫理社会的課題(ELSI)の専門家という
CVID-19研究に関わる様々な立場の方に講演をしていただき、
COVID-19研究に係る研究倫理上の課題、および解決策について考えていきたい。
■セッション2-3(15:20~16:50)
どうなる?指針改正後の倫理審査委員会を考える
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(以下、「医学系指針」)」と
「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(以下、「ゲノム指針」)は、
文部科学省、厚生労働省及び経済産業省による「医学研究等に係る
倫理指針の見直しに関する合同会議」(以下、「合同会議」)において、
平成30年8月より見直しが開始され、この「合同会議」と、
その下に設置されたタスク・フォースによる検討およびパブリックコメントを
経て、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」という
名称で統合された。
統合にあたっては、両指針の整合性から統合の可能性、指針を運用する
研究者の視点に立った本文構成の見直し、国際的動向や研究の多様性等を
踏まえて新たに設置すべき項目等についての議論が行われ、
新指針では、倫理審査は原則一括審査となること、研究者が直接倫理審査委員会へ
審査依頼を行うようになること、電磁的同意が許容されること、
臨床研究法の倫理審査における「事前確認不要事項」に相当するスキーマが
設けられることなど、研究者、倫理審査委員会、双方にとって手順の見直しが
必要となる改正が盛り込まれた。
本セッションでは、指針改正の要点についてタスク・フォース
及び合同会議メンバーとして改正検討に参加した田代より報告したうえで、
加えて、2つの研究機関より新指針への対応案を紹介し、新指針の理解と
機関内整備の参考とし、本研究会の議論の一助としたい。
各セッションの内容に関するご案内は以上です。
登壇者詳細、各セッションのオンデマンド配信の有無、参加登録方法等については
特設ページをご確認ください。
・「第6回研究倫理を語る会」特設ページ: https://med-gakkai.jp/katarukai6/
参加登録は当日も受け付けております。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。